オプション取引はハイリスク?真実は資金管理術の王道だ

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某ブログ等で以下のようなコメントを見たことがある。

「オプション取引は極めて高リスクな金融商品なので、手を出すべきではありません!」

…なるほど、随分と安直な結論だ。色々と言いいことはたくさんあるのだが今は抑え、その根拠を伺ってみる。するとこうだ。

「オプション取引、特にオプションの『売り』は99勝1敗でも全財産を失うと言われています。投資効果も高いですが損失も無限大です。個人投資家のオプション売りは禁止すべきという声もあるくらいです。東日本大震災でどれだけの破産者がでたか…。それを考えたら私は恐ろしくて手を出せません(*)」

というのだ。私から一言言わせてもらうと、この方は、オプションの何を知っていて、このようなコメントしているのか?あまりにレベルが低い。私はこう心の中で返答する。

「恐ろしくて手を出せないのなら、今のような無知のままオプション取引を実行していなくて、本当に良かったと思います!」

例えるなら、車の運転を知らずに、車を運転するようなものだ。事故を起こすに決まっている。だからと言って、日本中で車の事故が絶えないから、皆さん、車に乗るのは止めましょう!という事に意味があるのか?手を切るのが恐いからといって、包丁を使うのを止めるのか?オレオレ詐欺が恐いからといって、電話を解約するか?この考え方では、本当に高いレベルのトレード術に到達することは絶対に不可能だ。

(*)での根拠説明は、まるで、30年間サラリーマン一筋だった叔父さんに、独立開業を相談して、止めた方がいいよ!と言われたようなものだ。相談する相手を完全に間違っているし、本当にその世界で真剣に対峙している人達に対して、大変失礼な物言いではないだろうか。現にオプション取引は、単なるマイナーな投資種目ではもはやなく、機関投資家やヘッジファンドなどプロ達が実施する運用の中枢の一部をなす手法である。

■リスクゼロの金融商品など存在しない

こんな事誰でも知っていることだが、世界中あらゆる金融商品には、リスク無くリターンを得られるものなど一切存在しない。そして、もっと大事な事は金融商品はそれぞれに性質が違う。それぞれ固有のリスクに対して固有のリターンがあり、リスクとリターンを表面的に同列に語ることは意味が無いことだ。

単純な株式投資だって、全財産突っ込んだ挙句に会社が倒産すれば紙くずになる。先物やFXでは資金目いっぱいに建玉を持ち、逆指値等を全く入れずに放置すれば必ず証拠金不足になる。もはやロスカットとは言えない半破産状態に陥る。同じように、商品先物取引は危ないからやめた方がいいと言われ、、CFDも、、カバードワラントも、、と金融商品そのものが、まるで悪者扱いされる。銀行の普通預金でもしていればよっぽどリスクがないのでそうすれば良いのであり、投資家の立場の問題である以上、とやかく言わないが、オプション取引全体が悪者のように扱われるのは、実に甚だ心外だ。
では結局何なのか?リターンを見込む以上、リスクについては「取り扱う側の資金管理」の問題だ。

貴方が資金管理で失敗したところで、そんな事は『知ったこっちゃない』のである。要は、取り扱う側の資金管理の問題であり、リスクをきちんとコントロールできていなかった事にこそ問題があるのだ。車に乗るには、なぜ免許が必要なのか?それは人にぶつかったら凶器になるからであるからだ。もし車という乗り物が未来、凶器にならない場合、もしくは所有者のみが不利益を被る仕組みなら、免許が必要ない世界となるだろう。金融商品の場合は、負けて困るのは負けた投資家だけだ。むしろ負けた投資家以外はその資金で潤っているという現実となる。あなたが麻雀で役満を振り込んでも、他の3人は『知ったこっちゃない』。それとまさに同等だ。

東日本大震災では現実として地震や津波で多くの被災者がおり、本当に悲しい現実が訪れた。私はこの事に心から哀悼の意を表する。しかし、それとこれとを一緒くたに語って欲しくはない。震災に端を発した金融取引の損失、とりわけ株式・先物・FX・オプション取引の大損失を被った投資家については、全くもって一ミリも、何の同情の気持ちもありはしない。地震や津波で家を失った事と、先物取引での大損失は話が違う。ただただ、投資家に資金管理能力が無かっただけ!なのだ。まさに『知ったこっちゃない』である。

もう一度言う。すべては、『資金管理能力』の差なのだ。

逆に大震災時に、オプション取引で莫大な儲けを出した投資家もいるだろう。その投資家には非があるのか?世の中の甚大な被害の一方で、自分だけ儲かることに心を痛める必要があるのか?そんな必要は全くない。むしろ、有事にもかかわらず、資金管理能力に優れていましたね!という事だ。

そして、ことこの分野に関しては、オプション取引はただリスクが高いから危ないというものでは全くないのだ。真実は逆だとすら思う。実はオプション取引こそが【リスク・コントロールの王道】であり、リスクとリターンを変幻自在に細かく調整できる力を持っている!ということを声を大にして知ってもらいたいのだ。

■資金管理のコントロール性能はオプション取引が超抜群

まずここで確認しておく。資金管理とはズバリ、「資金を減らさないこと」だ。では、オプション取引が、【リスクコントロールの王道】とはどういうことなのか?順を追って説明していこう。

普通「リスク」と言うと「信用リスク・価格変動リスク・為替変動リスク・カントリーリスク・流動性リスク…」と無数にリスク発生源の意味を考えられるが、ことトレーディングに限定すれば、「利益(額)」と「損失(額)」に着目すれば、値動きに対しての損益図を考えれば済む。

そして、例えば以下の金融取引(株式・FX・先物・CFD…)は、値動きに対し、利益(リターン)と損失(リスク)は対称関係にある。つまり言いたいことは「比例」だ。これには、利益無限大&損失無限大の可能性を持っている。以下の取引をするとき、資金を減らさないための技術として、どんなことが実行できるだろうか?

・株式の買い/売り
・FXの買い/売り
・先物の買い/売り
・CFDの買い/売り

それには、「損失が出た時、その後の早期に利益ゾーンへ回復する見込みが無い場合には、できる限り早く損失を最小限に抑える」ということしか方法が無い。つまり、「ロスカット」である。現代の主流は「逆指値」であるが、値段を見て手動で「成行・指値」でも、要は損失を確定させることだ。これしか無いのだ。他に考えられるのは、例えばリスク分散として、別の銘柄を複数組み合わせて売ったり買ったりする方法がある。しかし別の銘柄との組み合わせでは、また違ったリスクが発生してしまうのでここでは考えないこととしよう。

一方、オプション取引は、この利益と損失に、単純な比例関係が当てはまらないのが一番の特長なのだ。特にオプションの買いでは、損失がある一定値以下には絶対にならない!という性質があるということである。このことを一般に「損失限定」と呼ぶ。

コールの買いでは、原資産が下落しても、支払プレミアム以上の損失には絶対にならない。その上、状況によっていつでも損切注文ができる。一方、プットの買いでは、原資産が上昇しても、支払プレミアム以上の損失には絶対にならない。その上、状況によっていつでも損切注文ができる。
つまり、オプション取引にとっての資金管理では、まず、原資産では利益と損失が一様になるはずの所を、損益図に変化を与える方法を選択することから始まるのだ。これがオプションが「オプション(選択肢)」たる所以だ。直接的に原資産を売買する以外の方法を選択するということだ。

更に、この例だと損失限定を享受した上で、相場が変化していった後に、どこで利食いするか、どこでロスカットするかを事前に考えことができるのである。つまり、オプションの買いを戦略のメインに置けば、資金管理上、ロスカットポイントの設定に加えて、損失限定ラインを設定することができるという、二重の安全策を講じることができるのだ。

■99勝できてもわずか1敗だけで大損失?

オプション取引はリスクコントロールの王道だ。王と名の付く以上、何だってできる存在なのである!とても低いリスクでゆったりと取引できるようなポジションを取れる一方で、破産確率のたいへん高いリスクをかける取引だってごく簡単に実現できる。リスクを低くも、高くも、如何ようにも、表現して実現することができるのである。

そこで次はプットの仕掛けを考えてみよう。復習すると、「プットの買いは損失限定。原資産(日経225)が上昇すると損失になるが、支払プレミアム以上の損失にはならない」ものだ。プットの買いで売買した相手は、「プットを売っている」と思いつくはずだ。プットの買いの逆のリスクをすべて背負い込んでいることになる。「プットの売りは、利益限定。原資産(日経225)が下落すると損失になり、受取プレミアムを超えてどこまでも損失を抱える」のだ。

コールでもプットでも、オプションの売りは日経225がSQ日までに動かなかったとしても、プレミアムが時間経過と共に目減りしていくことによって、利益を取れるという他の金融商品には無い優れた特徴を持っている。しかし思惑と逆方向へ大きな動きを伴って変化した場合には、大きな損失可能性も孕んでいるのだ。これが「99勝できてもわずか1敗だけで大損失」といわれる理由だ。

これを「プットの裸(はだか)売り」という。

裸というからには、服を着せよう。つまり、プットの売りには例えばプットの買いを組み合わせるのである。そうすると、あら不思議!利益限定&損失無限大のポジションが、利益限定&損失限定のポジションに早変わりする。このように、オプションの買いや売りを色々な形で組み合わせる仕掛けを、スプレッド(組み合わせ)ポジションという。スプレッドにすることで、損益図のリスク構造が変化し、そのうえでロスカットや利確ポイントを考えて取引する事こそが、オプション取引の醍醐味なのだ。

■スプレッド取引こそがオプションの醍醐味

つまり、オプション取引の醍醐味はスプレッド取引(組み合わせ)により、原資産取引による単純な右肩上がり(利益無限大&損失無限大)の損益図を変化させて、資金管理をやりやすくさせる事にあるのだ。

オプションのスプレッドについて、あまり難しく考えないでほしい。オプションのスプレッドは型が割と決まっているし、大手の証券会社の損益シミュレーターを使えば簡単に作成することができる。また某証券会社では、すでに決まったストラテジーを選択して、どんなスプレッドポジションが最適か(強気か弱気か、やや強気かやや弱気か、ボラティリティ上げ方向か下げ方向か、他様々…)を選択肢で示され、発注画面まで一気通貫で実現できるものも今は存在する。

駆け足でオプション取引での資金管理という目線で説明してきたが、初心者にとっては分からない部分も多くあったかと思うが、ただハイリスクで危険、というイメージとはだいぶ違うものだと思ったはずだ。これからさらに興味を持って取り組めば、もっと奥には深くて面白い世界があるのだということが分かり始めるだろう。オプションの学習は着実に一歩ずつで構わない。最初のハードルを越えさえすれば、投資のプロ達と同等の仕掛けを簡単に実現することができる。以上で述べたことは全て、投資塾の生徒の皆さんにいつも伝えている真っ当で基本的なスタンスのごく一部である。王道のリスクコントロール術であるオプション取引を身に付けて、ぜひともご自身のスタイルに合った潤いのある投資生活を実現していってほしい。

小堀 ようすけ日経225オプションプロフェッショナルトレーダー

投稿者プロフィール

日経225オプション取引のプロトレーダー。東京大学大学院新領域創成科学研究科を卒業後、某IT企業に就職。その後は、オプション取引を主戦場として、毎月多少の波はあるものの、最低でも数百万円の利益をコンスタントに出している。これまで指導してきた生徒数は2000名を超え、その卓越したセンスと指導力で受講生たちから絶大な信頼を得ている。

■公式ブログ: http://ameblo.jp/kobori-nikkei225/

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